海で遊んだあと、
こんな感覚になったことはありませんか。
「すごく楽しかったはずなのに、想像以上に疲れている」
「体だけじゃなく、頭もぼーっとする」
「もう一回行こうと思ってたけど、今日はいいかな…」
これは珍しいことではありません。
むしろ、初めての海体験ほど起こりやすい反応です。
それを
「体力がないから」
「自分に向いていないから」
と片付けてしまう人が多いですが、
実際はもっと構造的な理由があります。

海は“楽しい場所”である前に、情報量が多すぎる場所
私たちは普段、
かなりコントロールされた環境で生活しています。
・平らな地面
・一定の温度
・決まった音
・慣れた匂い
ところが海に行くと、
この前提がすべて崩れます。
足元は揺れ、
風が吹き、
波の音が途切れず、
光は反射し続ける。
体はずっと、
バランス調整と情報処理を同時に行っている状態です。
本人に自覚がなくても、
脳と体はフル稼働しています。
これが、
「何もしていないのに疲れる」
と感じる一番の理由です。

水に入るだけで、体は緊張状態に入っている
泳いでいなくても、
海に入った瞬間、
体は陸上とはまったく違う反応をします。
・浮くために無意識に力が入る
・水温を感じて体がこわばる
・足場が不安定で踏ん張る
これらはすべて、
“危険を回避するための自然な反応”。
つまり、
海にいる間、
体はずっと軽い警戒モードに入っています。
楽しい気持ちと同時に、
体はちゃんと頑張っている。
そのギャップが、
後から一気に疲労として出てきます。

日差しと反射が、体力を静かに削っていく
海の疲れは、
運動量だけでは説明できません。
見落とされがちなのが、
光による消耗です。
・直射日光
・水面からの反射
・砂からの照り返し
これらが重なると、
想像以上にエネルギーを奪われます。
「そんなに動いていないのに、ぐったりする」
という感覚は、
この影響がかなり大きい。
体力というより、
回復力を削られている状態に近いです。
“楽しまなきゃ”という気持ちが、さらに疲れを増やす
初めての体験ほど、
こんな気持ちが入り込みます。
・せっかくだから楽しみたい
・失敗したくない
・周りに遅れたくない
この状態では、
無意識に自分を追い込んでしまいます。
休めばいい場面でも、
「もう少し頑張ろう」と動いてしまう。
楽しさと同時に、
気を張り続けている状態が続くと、
心の疲労も蓄積します。

疲れた=向いていない、ではない
ここで一番伝えたいのは、
この一点です。
海で疲れるのは、
適性の問題ではありません。
・非日常の環境
・情報量の多さ
・緊張と解放の繰り返し
これらが重なれば、
誰でも疲れます。
むしろ、
「まったく疲れない人」の方が少数です。

2回目以降に楽になる理由
不思議なことに、
2回目・3回目になると
「前より楽だった」と感じる人が多い。
それは体力が増えたからではなく、
・環境を知っている
・流れがわかっている
・緊張の入れ方がわかる
この違いだけ。
疲れの正体がわかると、
無駄な力が抜ける。
それだけで、
体験の質は大きく変わります。

海を楽しみ切る人がやっていること
最後に、
疲れすぎずに楽しめる人の共通点。
・最初から全力でやらない
・途中で休むことを前提にしている
・「今日はここまで」で切り上げられる
これは我慢ではなく、
海との付き合い方がうまいということ。

まとめ:疲れるのは、ちゃんと向き合った証拠
海で疲れたと感じたなら、
それは失敗ではありません。
体も心も、
ちゃんと海を受け取った証拠です。
「楽しかったけど疲れた」
その感覚があるなら、
次はきっと、
もう少し余裕を持って楽しめる。
海は、
一度でわかる場所じゃない。
だからこそ、
何度でも向き合う価値があります。

