ダイビングライセンス物理学・生理学② ~浮力の調節について~

はいさい! 石垣島のMIKAです(´ω`*)

前回は「圧力」についてお話ししました。

今回は、「浮力」について書いていきます。

目次

浮力の調節

「浮力」とは、読んで字の如く「物を浮かせる力」のことです。

ここでも「気圧」「水圧」を扱うので、「圧力」についての記事を読んでから目を通して頂ければと思います。

中性浮力

ダイバーって、どうして水中でずっと宙に浮いていられるんだろう?……そんな疑問を抱いたことはありませんか?

水面へ浮いてしまうことなく、水底に沈んでしまうこともない。このような無重力に近い状態を保つ浮力のことを「中性浮力」といいます。

浮力の調節を誤って水面に急浮上してしまうと非常に危険ですし、サンゴの上に落下してしまうと大事な枝を折ってしまいます。

自分の身を守る為にも、海の環境を守る為にも、浮力の調節はとても大切なのです。

物体は、それと同じだけの体積分の水より重い(密度が高い)と沈み、軽い(密度が低い)と浮き上がります。気体は液体より密度が低いので、空気の入っているペットボトルが沈むことはありません(ただし、海にゴミは捨てないでくださいね!)。

 BCDの使い方

では、ダイバーはどのようにして浮力を調節しているのでしょうか?

答えは簡単、空気の出し入れを自分でコントロールできる「浮き袋」を身につけているからです。

コントロールできる「浮き袋」BCD

 その浮き袋とは、タンクに接続されているジャケット……つまり、「BCD」のことです。Buoyancy(ボイヤンシー) Control(コントロール) Device(デバイス)の頭文字をそのまま取って呼んでおり、BCと言う方もいます。

BCDは中圧ホースでタンクと繋がれているので、「給気ボタン」を押して空気を入れたり、「排気ボタン」を押して空気を出したりすることができます。

それぞれの機能は真逆ですので、くれぐれも押し間違えのないようにしてください。

 浮力の調節

エントリー(船や陸から海に入ること)する時は必ずBCDをいっぱいに膨らませておきましょう。

そうすれば、沈まずにずっと水面にいることができます。同様に、エギジット(海から船や陸に上がること)する時も、水面に出たらBCDに空気を入れることを忘れずに行ってください。

 排気ボタン

潜り始める時は、「排気ボタン」を押してBCDから空気を抜きます。同時に息を吐くと肺も萎むので沈みやすいです。(耳抜きもこまめに行いましょう)

「排気ボタン」を押す時は、左腕をできるだけ上に伸ばし、少し斜め後ろに振り返ると空気を抜きやすくなります。きちんと泡が出ているかどうか確認することも忘れずに。

 給気ボタン

着底したら、「給気ボタン」を少しだけ押して、いっぱいに息を吸った状態でどれだけ浮けるかチェックしましょう。なかなか浮かない場合は、海底に手を着いて自分の体を押し上げてみてください。

1回押しても中性浮力がとれない場合は、再度「給気ボタン」を押します。浅い水深(5m前後)だと浮きやすいので、特に注意して行います。

その作業を繰り返し、中性浮力が取れたらダイビングを開始してください。

 中性浮力

深い場所へ移動すると、水圧が増してBCD内の空気が圧縮される=浮力が弱くなるので、「給気ボタン」を押して調節します。

浅い場所へ移動すると、水圧が弱くなってBCD内の空気が膨張する=浮力が強くなるので、その前に「排気ボタン」を押して空気を抜いておきましょう。水深が浅くなってから抜こうとしても遅い(自分が浮き上がるスピードの方が速いから)ので、事前に「排気ボタン」を抜くことが重要です。

水中では、うつ伏せのように身体を水平

水中では、うつ伏せのように身体を水平にして、リラックスした状態で浮いていることがポイントになります。つまり、足は「横移動」の為だけに使うのが正しいということになるので、「縦移動」、即ち「浮力の調節」の為に一生懸命足を動かすことがないようにしてください。

「浮力の調節」は、BCD内の空気のみによってコントロールすることが大切です。「浮力の調節」の為のフィンキックはいたずらに体力とエアを消費する無駄な行為ですので、浮き過ぎる時や沈み過ぎる時は必ずBCDだけで調節するようにしましょう。

 浮力確保

ダイビング中は、インストラクターと同じ水深が保てるように自身の浮力を調節してください。異なる水深にいると、インストラクターのハンドサインを見逃してしまいます。また、インストラクターより深い場所にいると余分な窒素を蓄積してしまうことになるので気をつけてください。

安全停止を行う場合は、まず水深5m付近

 エギジット前に安全停止を行う場合は、まず水深5m付近まで、「排気ボタン」を押して慎重に空気を抜きながら浮上します。空気を抜かずに浮上すると、水圧が弱まり、BCD内の空気が膨張して水面まで一気に上がってしまう恐れがあるからです。

5m地点に到達したら、その水深を保てる浮力になるように調節しましょう。沈み過ぎる場合は、「給気ボタン」を押します。

3分経過したら、再び「排気ボタン」を押して水面まで浮上してください。水面に到達したら、前述した通り「給気ボタン」を押してBCDを膨らませましょう(これを浮力確保といいます)。

ボタンが機能しない、もしくは中圧ホースの故障で空気がBCDに送られ続けるという恐ろしい事態に陥った場合は、すぐに中圧ホースを抜いてタンクとBCDの接続を解除してください。
その後は、「排気ボタン」を押しながら自身の口からBCD内に給気することができますので、その方法で浮力を調節しましょう。
(オーラル・インフレーションという、オープンウォーター講習で習うスキルの一つです)

 適正ウエイト

ところで皆さん、そもそも「重り」をつけないとBCDに空気が無くても沈めない場合があることはご存知でしょうか?

なぜなら、BCDの下に着ているウェットスーツに浮力があるからです。

ウェットスーツを着ていなければ問題ありませんが、着用している場合はその浮力をなくす為の重り、即ち「ウエイト」をつけなければなりません。

「ウエイト」は鉛でできており、1kg、1.5kg、2kg、2.5kgのものがあります。ベルトに通して装着するか、BCDのポケットに入れて潜ります。いずれの場合も、左右の重さが均等になるようにしましょう。

ダイバーの体重やウェットスーツの厚さ、タンクの重さによって適正ウエイトは異なるので、インストラクターの指示に従って調節してください。

 適正ウエイトであるかどうかは、水面で確かめることができます。

エントリーしたら、BCDの空気を全て抜き、息を限界まで吐いてください。その後、水面が自身の目の辺りで止まり、それ以上浮きも沈みもしなければ(中性浮力になれば)OKです。

ウエイトが足りないと潜降できませんし、多過ぎると浮力の調節の為に余分なエアを使ってしまうことになるので、自身の適正ウエイトを知ることはとても大切です。

 BCDの洗い方

最後に、BCDの洗い方についてお話しします。

BCDは水桶に浸けても表面しか洗えないので、内側をキレイにする為に、まずはオーラル・インフレーションか「給気ボタン」で空気を入れて膨らませ、それから水を入れてください。水を入れたら上下を引っ繰り返して満遍なく内部に行き渡らせ、それから「排気ボタン」を押して中に入れた水を全て出しましょう。あとは、干して乾くのを待つだけです。 

 最後に、

いかがでしたか?

あのジャケットが実は浮き袋だったなんて、知らなかった方も多いのではないでしょうか。

ダイビングの勉強は未知の世界の探求そのものです。もっともっと詳しくなって、お手本になるようなダイバーになってくださいね!

お手本になるようなダイバー
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